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介護・福祉

2023.02.03

2024年度の介護保険制度改正、おさえるべきポイントを徹底解説

2024年度の介護保険制度改正、おさえるべきポイントを徹底解説

2024年度からスタートする新しい介護保険制度は、診療報酬、介護報酬・障害福祉サービス報酬改定の「トリプル改定」も同時に行われる予定であり、2022年より社会保障審議会(社保審)での議論を重ね準備が進められています。
制度改正の段取りを知り、その上で今回社保審の介護保険部会で議論された注目ポイントは何かをお伝えいたします。

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介護保険制度改正の仕組み

2000年にスタートした介護保険制度は、報酬改定は2003年から、制度改正は2006年から、臨時のもの以外は概ね3年ごとに施行されてきました。
市区町村では、新制度の施行と同じタイミングで「介護保険事業計画」を策定し、地域に応じた介護保険施設などの基盤整備や保険料の設定を計画します。
「報酬改定・制度改正・計画の策定」の一連のサイクルが3年ごとに繰り返されて介護保険が運用されています。 今回の改正の流れを記してみました。

2023年1月時点では2のステップまで進行しています。
2022年 社保審の「介護保険部会」で新制度の大枠が決まる
2023年 介護保険法の関連法改正案を通常国会へ提出、審議を経て成立
同年 社保審の「給付費分科会」で介護報酬が決まる
同年 第9期介護保険事業計画が作成される
2024年4月 新制度施行・新計画実施

介護保険制度改正内容の注目ポイント

改正される事項は多岐に及びますが、介護保険部会の取りまとめ意見の最初の提言に、「地域包括ケアシステムの深化・推進」を進めるには、

  • 既存のサービス基盤の適切な活用
  • 住まいの確保

が課題とされ、どのような改善施策が提案されているのか、以下に各項目の詳細を見ていきたいと思います。

新・介護サービスの創設

「既存のサービス基盤の適切な活用」に対し、今回新たな介護サービスの創設が提議されました。
介護サービスの種類は、2012年改正で新サービス(定期巡回随時対応型訪問介護看護と現在の看護小規模多機能型居宅介護)が創設されて以来となり特に注目です。ただし、その詳細はまだ明示されておらず、介護給付費分科会で検討されることになっています。

介護保険部会の資料から新サービスの記載を抜粋してみました。

(前略)例えば、特に都市部における居宅要介護者の様々な介護ニーズに柔軟に対応できるよう、複数の在宅サービス(訪問や通所系サービスなど)を組み合わせて提供する複合型サービスの類型などを設けることも検討することが適当である。

さらに、上記記載に続き、「看護小規模多機能型居宅介護」についての有用性とサービス利用の拡充の必要性が謳われており、今後創設されるサービスのキーワードは「複合型」「地域密着型」「月額定額制」であることを示唆してるとも読み取れます。

地域包括ケアシステムの最終目標は「地域共生社会」の実現

「地域共生社会」とは「全ての人が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合う」社会、「地域包括ケアシステム」の目指すゴールは「地域共生社会」の実現とされています。
その基盤として「住まいの確保」が重要なファクターと位置付けられました。

具体案としては、既存の介護施設を効率的に活用する方向で、特別養護老人ホームや有料老人ホーム等の入所についての制限を「より柔軟に地域の実情に合わせることが適当」とされ検討される方向です。

さらに注目すべきは、厚労省と国交省が現在全国5市で取り組んでいるモデル事業「住まい支援センター」の成果の報告書が今年3月以降にできあがり、その結果を踏まえ、介護保険での施策を検討することになりました。
今までは「住宅」「福祉」という縦割り制度に横串を通すことで、新たな事業展開も臨めます。

介護保険制度改正は総じて、既存のサービスを組み合わせ、既存の縦割り制度に横串を入れることで現状の課題を打破する方法を模索していると言えます。今後の動きにもぜひ注目していきましょう。

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戸塚 岳泉

このコラムを書いたコンサルタント

戸塚 岳泉

ケアマネジャー•社会福祉士として、介護・障がい者・児童の幅広い福祉現場の経験を積み、NPO法人の事務局長、児童福祉施設の施設長、介護サービス会社の本部長として法人経営にも携わる。現在は株式会社CBリサーチの業務改善コンサルティングを担当。

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