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介護・福祉

2023.10.10

2024年度の介護保険制度改正、おさえるべきポイントを徹底解説②

  • 介護報酬改定
  • 地域包括ケアシステム
2024年度の介護保険制度改正、おさえるべきポイントを徹底解説②

本コラムは、2023年2月に執筆した「2024年度の介護保険制度改正、おさえるべきポイントを徹底解説」の続編となり、現在までに明らかとなった新制度・新サービスの行方を追います。

2024年は、診療報酬、介護報酬・障害福祉サービス報酬改定の「トリプル改定」です。介護保険制度改正の仕組みについては、前述のコラムをぜひご一読ください。

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介護保険制度改正10のスケジュール

①2022年12月まで 社会保障審議会「介護保険部会」が終了、とりまとめ意見が出る
②2023年1月から 社会保障審議会「給付費分科会」がスタート
③2023年2月10日 新介護保険法の法律案を提出(5月に成立)
④2023年8月まで 給付費分科会にて各サービスごとの議題が明示される
⑤2023年9月から 事業者団体からのヒアリングを開始
⑥2023年10月~12月頃 給付費分科会で具体的な方向性について議論
⑦2023年12月中 給付費分科会の審議報告
(報酬・基準の考え方の整理・とりまとめ)
⑧2023年12月中旬~下旬あたり 報酬改定率の発表
(プラス改定かマイナス改定か)
⑨2024年1月より 人員・設備・運営基準等の整備(政令・省令)
⑩2024年3月 介護給費単位数の明示(厚生労働省告示)

※筆者の予測も加味しています。

2022年12月20日「介護保険制度の見直しに関する意見」

まず押さえるべきは2022年中に行われた社会保障審議会の介護保険部会です。 部会のとりまとめが2022年12月に発表され、 その意見を現在給付費分科会で議論しています。

出典:社会保障審議会介護保険部会「介護保険制度の見直しに関する意見」(厚生労働省ウェブサイト)

新介護保険法は成立済み

  • 2023年2月10日に厚生労働省より提出された「2024年度 改正介護保険法」は、2023年5月12日に参議院本会議にて多数賛成を得て通常国会で成立しました。
  • 介護保険法単体の法案で提出されたのではなく、関連する法律(医療介護総合確保推進法・医療法・高齢者医療確保法)等を束ねて「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」という法案の成立です。
  • 改正の実務的な内容については、政令・省令・告示等に示されるため、法律成立後も審議が継続されています。

出典:厚生労働省「第165回社会保障審議会医療保険部会 資料4(厚生労働省ウェブサイト)

新介護保険法で確定となった事柄

  1. 看護小規模多機能型居宅介護の内容を明確にして普及を進める
  2. 介護予防支援の指定をケアマネ事業所もとることが可能となる
  3. 地域包括支援センターの総合相談支援事業をケアマネ事業所へ委託が可能となる
  4. 介護事業者の財務諸表の届け出の義務化(グルーピングされた分析結果が公表される)

次の次の改正(2027年改正)に先送りされた事案

  1. 要介護1.2の総合事業への移行
  2. ケアプランの有料化

複合型サービスの行方

  • 2022年の取りまとめ意見で「複数の在宅サービス(訪問や通所系サービスなど)を組み合わせて提供する複合型サービスの類型などを設けることも検討することが適当である」と提議されたものでしたが、結論から言いますと新複合型サービスはまだ詳細不明なままです。
  • 議論の中では新サービスへの反対意見も多く、創設への進捗はまだまだ不透明な状況です。
    「事業間連携を深めれば済む」
    「制度がより複雑になる」
    「既存サービスの規制緩和を先行させるべき」
    「介護職を増やす根本施策を考えてほしい」

出典:厚生労働省「第222回介護給付費分科会 資料3(厚生労働省ウェブサイト)

2023年12月までの特に注目すべきトピックス

  1. 高所得者の介護保険料の引上げと、低所得者の保険料の引下げ案の行方
  2. 自己負担2割となる対象者が拡大となるか
  3. 介護老人保健施設・介護医療院の多床室の室料が自己負担となるか
  4. 介護報酬がプラス改定か、マイナス改定か
  5. 新サービスの創設がなされるのか

関心が高まっている話題

  • ケアマネジャー研修のICT化、ケアプラン作成のAI研究
  • 福祉用具のレンタル・販売種目の検討
  • LIFEの活用拡大
  • 地域包括支援センターの職員配置の柔軟化(複数拠点で3職種揃ってればOK)
  • ICT活用で介護付き有料老人ホーム等の人員配置基準を緩和の検討
  • 介護助手の活用(介護職でなくても行える業務を切り分け)
  • 様式を標準化し、電子申請・届出システムを活用することで文書負担軽減

さいごに

制度改正の全容は今年(2023年)12月~来年(2024年)3月にかけて明らかとなります。
現時点(2023年9月)ではまだ未確定なことが多く、水面下で制度作成の作業が行われている状況です。
まずは給付費分科会の進行を注視していくことが、改正へ備えるための大きな手がかりとなるでしょう。

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戸塚 岳泉

このコラムを書いたコンサルタント

戸塚 岳泉

ケアマネジャー•社会福祉士として、介護・障がい者・児童の幅広い福祉現場の経験を積み、NPO法人の事務局長、児童福祉施設の施設長、介護サービス会社の本部長として法人経営にも携わる。現在は株式会社CBリサーチの業務改善コンサルティングを担当。

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