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介護・福祉

2024.01.31

令和6年(2024年)介護報酬改定のポイントと検討すべき方向性について

  • 介護報酬改定
令和6年(2024年)介護報酬改定のポイントと検討すべき方向性について

令和6年度の介護報酬改定の全貌が明らかになってきました。
報酬改定を控え、介護施設・事業所のみなさまは
今後どのように事業推進をしていくべきか、色々と議論を進めていらっしゃるでしょう。

本コラムでは公表された内容をピックアップし、今後の検討すべき方向性について解説します。

令和6年度介護報酬改定のポイントと方向性

ご覧になられている方も多いと思いますが、
令和6年1月22日に第239回社会保障審議会介護給付費分科会が開催され、
介護報酬改定の主な事項が掲載されています。

出典:第239回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料(厚生労働省ウェブサイト)

改定のポイントは下記4点です。
(1)地域包括ケアシステムの深化・推進
(2)自立支援・重度化防止に向けた対応
(3)良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり
(4)制度の安定性・持続可能性の確保

上記の背景となっているのは、
目的として、超高齢社会において、医療介護は保険制度を維持して乗り切っていく
そのための報酬改定であるということです。

上記目的を達成するために、下記が問題となっています。
①高齢者の増加により介護給付費が毎年増加し、社会保障費の増加とともに国民負担が増加。
 →国民の所得を下げる要因の一つとなる

➁担い手の不足(介護士の不足)
 →「高齢者の急増」と「現役働き手世代の急減」
  詳しくは「令和6年(2024年)診療報酬・介護報酬同時改定のポイントと検討すべき方向性について
  をご覧ください。

その問題の対策として、
①ケアの質を維持しつつ介護給付費を抑制する
具体的には、
(a)給付の適正化(抑制)
 →多様なニーズに対応すること、医療介護の連携に対しての評価
 →収支差率を上げ、給付費を抑制する(大規模化の推進)
(b)基準緩和(少人数で多くを対応)と生産性(効率化)の向上を実施していく

➁担い手への処遇改善

ということになります。

報酬改定の各項目のポイント

ここから、掲げられている改定ポイントについて各項目をみていきます。

(1)地域包括ケアシステムの深化・推進
こちらは、概ね上記①(a)が対策の該当となります。
・居宅介護支援や訪問介護の特定事業所加算
・定期巡回、小多機や看多機の総合マネジメント体制強化加算
・訪問看護の専門管理加算
などをはじめ、多様な課題への対応に対することによる評価をしています。
また、医療と介護の連携強化にも触れられています。

(2)自立支援・重度化防止に向けた対応
こちらも、概ね上記①(a)が対策の該当となります。
重度化防止を評価することにより、更なる給付費を抑制しようというものですね。
口腔ケア、栄養管理、ポリファーマシーへの対応等が評価されています。

(3)良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり
こちらは、上記対策の①(b)と➁が該当します。
令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%の処遇ベースアップへ繋がるよう引き上げするとあります。
さらには、ICTを活用した生産性の向上には評価をしようとしています。

また、ケアマネジャーの取扱可能件数が増加します。
ICTの活用や事務職員の配置を行い、少人数で多くの被介護者の担当をして欲しいということですね。

(4)制度の安定性・持続可能性の確保
こちらは、上記対策の①が該当します。
・同一建物等居住者にサービス提供する場合の報酬の見直し
・短期入所生活介護における長期利用の適正化
など集中的であったり、本来の目的から逸れるものは抑制の対象になっています。

また、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、訪問介護は基本報酬がマイナスとなっています。
プラス改定と聞いていたのに、マイナスではないか!?となられている方もいらっしゃるでしょう。

こちらは、厚生労働省経営実態調査よりご確認ください。

「収支差率が高く、増減で増えているものに対して、利益が出ているのでマイナスにします。」
というものになっているでしょう。

各事業所が検討すべきこと・戦略について

上記を踏まえてここからは、事業所が検討すべきことを2点挙げさせて頂きます。

①利用者の獲得と規模拡大の検討
令和5年11月1日の財政制度等審議会でも述べられていますが、
規模が大きいほど、収支差率が高い傾向にあるデータが出ております。

上記の改定内容からも分かる通り、
超高齢社会に向けて、数多くの被介護者をケアしていく必要がある

生産性を上げて対応する

規模を大きくして収支差率を上げる

収支差率が上がった分、介護給付費を抑制する

制度の維持につなげる

ということが求められています。

つまり、単価UPではなく、地域で求められるサービスに対し
少人数で数多くの対応をするために事業規模の拡大や各事業の経営の共同化の推進をすべきだということです。

➁介護の担い手の確保政策
2012年以降も医療福祉の人材は増え続けているものの(総務省「労働力調査」より)
こちらは、2040年までに約65万人の人材不足が言われております。

また、上記①の規模拡大を検討するにあたっては、
介護の担い手である「人」、また優秀な人材が少なからず必要です。

そのためには、
・介護職の処遇の見直しと評価の紐付け
・ICT活用による職場環境の改善と意識改革
・魅力ある職場環境づくり、繋がり・連携の構築

このようなことに取り組んでいく必要があるでしょう。

コラムいかがでしたでしょうか。
ぜひ今後の経営、事業戦略のヒントにしていただければ幸いです。

田中 隆暁

このコラムを書いたコンサルタント

田中 隆暁

社会福祉法人での事務長、介護事業系企業の取締役にて、施設・通所・居宅系と幅広い新規事業の立ち上げ、資金繰りから人事面など総合的な経営改善の実績を持つ。 医療介護福祉業界をより良くしたい想いを胸に、事業展開、事業改善コンサルティングを多数担当。

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