CB Research Institute

MENU

高齢者住宅

2020.12.04

居宅療養管理指導の将来予測 ~どう競争に勝ち残っていく?~

  • 高齢者住宅
居宅療養管理指導の将来予測 ~どう競争に勝ち残っていく?~

薬局にとっても、もうすでに「在宅」というワードは切っても切り離せない時代になってきたことでしょう。
そこで、今回は在宅(高齢者の住まい)への居宅療養管理指導について解説いたします。

過去実績を元に将来推計する
居宅療養管理指導対象の割合は?

居宅療養管理指導の受給者数は、全国でどれくらいいるかご存知でしょうか。

厚生労働省が公表しているデータによると、2018年度は、約73.2万人です。
イメージしにくいデータであると思いますで、他の数値と共に考察していきます。

《 2018年度 厚生労働省公表数値 》
●要介護認定者数      :約645.2万人
●居宅療養管理指導の受給者数:約 73.2万人
 ⇒要介護認定者数の11.3%
●薬局薬剤師の人数     :約 18.4万人
 ⇒薬剤師1人当たり、居宅療養管理指導対象は約4.1人

2018年度の要介護認定者数は、約645.2万人。
つまり、介護認定を受けている方の11.3%が居宅療養管理指導を受けていることになります。
また、薬局薬剤師1人あたりで換算すると、2018年度の薬局薬剤師の人数は、約18.4万人であるため、薬剤師1人当たり、約4.1人の高齢者が居宅療養管理指導の対象であったということになります。

この数値から、どのように感じられましたでしょうか。
様々な意見があると思いますが、全くもって多い人数とは言えないでしょう。

さらにここから、2025年度はどうなるかの将来推計をします。

《 2025年度 厚生労働省公表数値より推計 》
将来推計
●要介護認定者数      :約783.4万人
●居宅療養管理指導の受給者数:約156.7万人
 ⇒要介護認定者数の20%と仮設定
●薬局薬剤師の人数     :約 20.8万人
 ⇒薬剤師1人当たり、居宅療養管理指導対象は約7.5人

同様に厚労省公表データより推計すると、2025年には、要介護認定者数が、783.4万人。

その要介護認定者数に対し、居宅療養管理指導の対象者は過去5年実績で年々1%程度増加していることと、さらなる加速が進むことを鑑みて介護認定を受けている人の20%が対象となると仮設定をします。そうすると、居宅療養管理指導の受給者数予測は、約156.7万人となり、2018年度から2倍以上の市場規模となります。

また、薬局薬剤師数もここ10年で年間約4000人程度増え続けており、2025年ぐらいまでは同様のペースで増え続ける予測のデータがあるため、換算すると2025年の薬局薬剤師の数は、約20.8万人となります。
ここで先ほどと同様に、薬局薬剤師1人当たりに換算すると、約7.5人の高齢者に対し、居宅療養管理指導を提供することになります。

この数値から言えることは、在宅患者は増え、市場は大きくなります。
しかし、薬局薬剤師1人当たりに対して、この「7年間」でたった「3人程度」しか在宅患者は増えないことになります。

将来推計値から読み解く
居宅療養管理指導の将来は?

つまり、政策誘導と市場増大により、在宅患者を増やそうとあらゆる薬局が動く状況がどんどん加速する環境の中ではあるものの、在宅患者を取り合うという競争がさらに激しくなることが推測されます。
特に、高齢者住宅や施設系の在宅患者については、何十人もの在宅患者へ一気にサービスを提供できるからこそより競争が増すことは予想できます。

この競争を勝ち残り、優位に進めていくためには、やはり自ら在宅患者(お客さま)を自身で持てる仕組みを作っていかなければなりません。ここ数年で薬局経営者が、自らの在宅患者作りとして、在宅機能としての高齢者住宅を自ら手掛ける方が出てこられているのも、そのためでしょう。

今後の経営ビジョン、みなさまどのように考えておられますでしょうか。
はっきりされている方、試行錯誤されている方、様々だと思います。
今後の経営のヒントにして頂ければ幸いです。

田中 隆暁

このコラムを書いたコンサルタント

田中 隆暁

社会福祉法人での事務長、介護事業系企業の取締役にて、施設・通所・居宅系と幅広い新規事業の立ち上げ、資金繰りから人事面など総合的な経営改善の実績を持つ。 医療介護福祉業界をより良くしたい想いを胸に、事業展開、事業改善コンサルティングを多数担当。

CONTACT

電話でのお問い合わせ

03-6435-8251

受付時間 平日 9:00〜18:00