高齢者住宅
2023.03.23
地域包括ケアシステムの構築は、介護問題を解決するか
高齢化が進む日本社会においては、家庭における深刻な介護問題が数多くあります。以前のコラムでヤングケアラーについて取り上げていますが、今回は老老介護・認認介護についてご紹介します。
老老介護・認認介護とは何か
厚生労働省の国民生活基礎調査によると、自宅で介護をしている人のうち、65歳以上の高齢者の介護を、65歳以上の高齢者が行っている、老老介護の割合が増えています。高齢化、核家族化が進む日本では、今後も老老介護は増加することが予測されます。高齢者が高齢者の介護を行うため、体力面や精神面での負担が多く、共倒れのリスクも懸念されます。老老介護特有の閉塞感、子育てと異なり先の見えない介護疲れから、無理心中のニュースも目にします。
また、介護する人とされる人が共に認知症である認認介護も社会問題となっています。厚生労働省の国民生活基礎調査では、介護が必要になった要因で最も多かったのは認知症でした。認知症の高齢者は、2012年は約462万人で、65歳以上の高齢者の約7人に1人でしたが、2025年には約700万人前後、高齢者の約5人に1人が認知症になり、認認介護の世帯がより一層増えると考えられます。介護者が自分で認知症だと気付いていない場合も多く、事故が起きやすい危険な介護状況である場合もあります。
老老介護・認認介護へのサポートとして、地域の取り組みも必要
今後増加する老老介護・認認介護の家庭に対して、地域でのサポートが必要です。
要介護認定を受けていれば介護保険サービスを利用できます。デイサービスやショートステイ等の介護サービスをうまく活用しながら、なるべく介護者の負担が大きくならないように工夫することが大切です。家庭で介護を続けることが難しくなったら、介護サービスの整った施設や高齢者向けの住宅に入居することは介護サービスの一部利用と比較すると、介護者の負担は大きく軽減することができます。
高齢者の住まいについて、どのようなものが必要なのかは下記コラムでもご紹介していますので、ご参考ください。
・高齢者に本当に必要なものは?住まいの考え方
・【省庁発表を読み解く】令和3年度から高齢者住宅環境を再整備へ
また認知症に対しての地域の取り組みには、認知症の方やそのご家族、認知症に関心のある地域の方が、お茶やお菓子を食べながら交流することを目的にした「認知症カフェ」もあります。先月、徘徊を優しく解決する認知症ケアとして、「バスの来ないバス停」という愛知県豊橋市の認知症カフェの取り組みがニュースで取り上げられ話題となりました。自宅に戻ろうとする高齢者が、来るはずのないバスを待っている間に、なぜそこにいるのかを忘れ、落ち着くと家族や介護スタッフとともに住まいに帰る、といったものです。こうした取り組みや、地域の人に認知症のことを理解してもらうことにより、地域全体で住みよい街づくりができます。
地域包括ケアシステムの構築が介護問題を解決する
高齢化が進む日本社会において、老老介護・認認介護以外にも「介護難民」「介護離職」「8050問題」「ダブルケア」といった介護問題があり、こうした介護問題は、誰もが当事者になりえます。介護者の負担を減らす取り組み、高齢者が住み慣れた地域から離れないで暮らせる環境つくりは益々重要になります。
政府としてはこうした介護問題を解決するために「地域包括ケアシステム」による高齢者のサポートを掲げています。
CBリサーチは、地域包括ケアシステム構築支援を通じて、お客様が地域包括ケアシステムの中心的存在になり、自社および地域の永続性を高めることをサポートしています。第1歩として自己負担費用が年金収入以内で、高齢者自身の持つ力を支援する住まいの構築をしています。ご興味のある方は、お気軽にお問合せください。
大学卒業後、株式会社CBホールディングスへ入社。 介護施設や個人宅への服薬指導実績を増やすための、地域連携支援や、WEBサイトやパンフレット制作等の、広報物制作支援に従事。 現在は株式会社CBリサーチにて全国のお客様と共に、新規事業の実現に向けて邁進中。