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高齢者住宅

2021.05.24

サービス付き高齢者向け住宅における「過剰なサービス提供」の監視強化について

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サービス付き高齢者向け住宅における「過剰なサービス提供」の監視強化について

報道からは既に2ヶ月ほど経過しているのですが、私どものクライアントなど各方面より話題になることが多いため、「サ高住に対する監視強化」を今回のテーマとして取り上げます。

どのような報道がなされているのか

報道詳細については各報道機関の記事をご確認頂きたいのですが、まとめると、以下の内容です。

  • サ高住では、介護サービスを過剰に提供しているケースがある
  • それらのケースでは、不適切な利益獲得を行っている可能性がある
  • 介護保険の財政悪化や、利用者の自己負担増に繋がりかねない
  • そのため、厚労省は監視を強化するシステムを導入する方針である
  • 監視対象は、限度近くまで介護サービスを受けている利用者が多い事業所
  • 具体的には、介護保険限度額の9割超の介護計画を出している事業所
  • 不適切なケースでは、介護報酬の返還を求めることまで想定される

これらを受けて、以下のような話題となることが多くあります。

報道を受けて、話題となっているポイント

  • この件を皮切りに、介護保険への締め付けが厳しくなるのではないか
  • サ高住以外の介護事業には、どのような影響があるのだろうか
  • サ高住にとって厳しい環境となった場合は、高齢者の住まいはどうなるのか
  • 当方がご提案している高齢者のお住まいへの影響はあるか
  • 介護報酬は、今後どのような流れを辿るのだろうか

表現は様々ですが、その多くは介護事業や高齢者向け住宅の先行きを案じられる声です。
その際に、私どもがお答えしている見解は以下になります。

私どもがお答えしている見解

サ高住への影響について
報道の通りであれば、一部の事業所では、改善や報酬の返還を求められるなどオペレーションの変更や、事業収入の減収などが起こり得ます。
もちろん、適切な事業運営をされている事業所が大半ですので、あくまでも、厚労省がいうところの不適切なケースに限って、となります。
ただ、先々を考えると不適切なケースの抑制をする目的で、関連する介護報酬が、実質的なマイナスとなることも考えられます。

弊社がご提案している「高齢者の住まい」への影響について
短期的な視点で考えるなら、「影響はない」か「ややプラス」と考えられます。そもそも、今回の対象は「不適切なサービス提供」を行っている「サ高住」や「居宅介護支援事業所」であり、いずれも該当しません。
また、ケアプランも必要十分であり、過度な提供を行っていないため、影響はないと言えます。むしろ、サ高住の在り方の変化により、ご利用者様が弊社ご提案事業を含むその他の住宅・施設へ、移るなどあれば、あるいは「ややプラス」と言えなくもありません。中長期的な視点で考えるなら、「プラス」と考えられます。

今回の問題の根本にあるものは、多額の介護保険収入を前提としなければ運営が成立しない、そのような構造となっている住宅系サービスの存在です。

  • 高額な建築コストを回収するためには、収入を大きくしなければならない
  • ただし、賃料を高くすると利用者を集めることができない
  • したがって、利用者の自己負担を少なくできる保険収入を増やす

このような構造の場合、限度額近くまでサービス提供をしようとするインセンティブが働きます。
もし、今後保険収入が減ることがあれば、賃料を上げざるを得なくなる可能性があることを、ご理解頂けるかと思います。

一方で、当方がご提案しているモデルでは

  • 必要十分な規模設備とすることで初期投資額を抑えている
  • そのため、事業者利用者の双方に無理のない賃料設定にできる
  • したがって、過剰なサービスを前提とする必要がない

このような特徴を持っています。
前提が少ない分、外部環境の変化にも対応しやすいモデルと言えます。

介護業界や、介護報酬への影響について
今回の監視強化の報道に関わらず、大きな方向は財政負担の抑制です。抑制しなければ、社会保障そのものが破綻してしまうからです。
少なくとも、不正や不適切な報酬は取り除かれなければなりませんし、先々には、保険収入だけに依存しない事業者が増えなければなりません。
もう一歩、論を進めるなら、事業の生産性を上げなければなりません。令和3年度の介護報酬改定にも、そのエッセンスが詰まっています。

サ高住に対する監視強化という報道に対し、3つの視点で触れました。
ざっとは、ご説明できたのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

今回の見解について、聞きたい、議論したい、というお声があれば、ぜひお寄せください。
弊社がご提案する高齢者住まい事業へのお問い合わせもお待ちしております。
また、既に運営されている事業についてのご相談も承っております。

CBリサーチ編集部

このコラムを書いたコンサルタント

CBリサーチ編集部

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