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経営

2021.08.06

企業のSWOT分析、みんなここを見落として衰退していく

  • 戦略コンサルティング
企業のSWOT分析、みんなここを見落として衰退していく

こんにちは。中小企業診断士の天野です。 

東京オリンピックで連日のメダルラッシュですが、皆様もご覧になっているでしょうか?
緊急事態宣言中での開催に賛否あるかもしれませんが、アスリートの純粋な努力、そしてそれが報われた姿を見ると、感動しますね。

ひたむきに、
自分を見つめ、
周りの誘惑にも負けず、
自分の能力を高め、弱点を克服して、
頂点を目指す。

美しいとさえ思えます。 
これって、企業経営の参考になる点があるかもしれません。自分の能力を高める、また弱点を克服する。
まさに、SWOT分析のようです。 

さて、今回は、《企業のSWOT分析、みんなここを見落として衰退していく》というタイトルで書かせていただきます。

SWOT分析とは

改めてですが、SWOT分析はご存知でしょうか。 

企業の戦略を考える上で、
内部環境である S:強み、W:弱み、と
外部環境である O:機会、T:脅威、とに
分けて状況判断をしましょう、というやつです。 

まあ、マーケティングの本なんか見ると、大体最初の方に書いてありますね。
おそらく、このコラムを見られている方は経営者が多いと思います。
ということは、自社のSWOT分析をしたことがある方も多いのではないでしょうか。 

だけど、そんな基本のSWOT分析だから、奥が深く、その使い方によって差が出てくるものです。 

一般的には、
1,まず自社のSWOTを整理する
2,その上で、クロスSWOTで戦略をまとめる
3,その戦略を取捨選択する
4,戦術、アクションに落とし込む
って感じでしょうか。

ちなみに、クロスSWOTというのは、
SW、OTをそれぞれをかけ合わせて考えるものです。 

S(強み)×O(機会):自社の強みを機会に活かし大きく成長する
S(強み)×T(脅威):自社の強みを活かし脅威を避けたり機会として活かす
W(弱み)×O(機会):弱みを克服して機会を活かす
W(弱み)×T(脅威):弱みを理解し脅威を避け影響を最小限にする 

SWOT分析での着目ポイント

ここで皆様はどれに着目するでしょうか?

おそらく、S(強み)×O(機会)と考えられるのではないでしょうか。
もしくは、W(弱み)×T(脅威)かもしれません。

大きく成長が見込まれる分野か、リスクが大きい分野か。
ただ、このあたりは誰でもそう思うのです。マーケティングの本にも書いてありますから。

S(強み)×O(機会)
に経営資源を集中させ、効率的に企業を発展させましょう!
って。

上で、注目いただきたいのは、「誰でもそう思う」という点です。
そう、普通です。みんなそうします。
では、みんな事業が成功するのか。
というと、そういうことはありません。

では、何が成功する会社とそうでない会社を分けるか。
このポイントが、
S(強み)×T(脅威)
なのです。

マーケティング本だけでは、見逃しがちなこの領域。
でも、実はここの捉え方が差を作ります。どういうことか。

S(強み)×T(脅威)
この領域は強みを使って脅威に打ち勝つ、

と書かれています。

前提として、S(強み)を守る、またはさらに強化する、としています。
だけど、現実の経営環境では、S(強み)でT(脅威)に打ち勝てないってことは、頻繁に起こります。
つまり、強みを守ろうとするあまり、脅威に飲み込まれてしまうのです。

実例を紹介しましょう。

コダック(Kodak)という会社、ご存知でしょうか?
写真フィルムの最大手だった会社で、デジタルカメラが普及する前、皆さんお世話になっていると思います。
この会社は、2012年倒産しました。写真フィルムが全盛期だったころ、高い技術力を背景に大きな成功を収めていました。
2000年以降のデジタルカメラの普及という、脅威に対して、強みである写真フィルムを守ろうとしたがため、倒産という結果になりました。

現在マーケティング業界では、この事例から市場が急激な変化をするタイミングを「コダック・モーメント」と呼ぶようになっています。
さまざまな市場で、急激に環境変化、コダックモーメントが起こり得る昨今、
いかに柔軟にS(強み)×T(脅威)に対応できるかが成否を分けます。

まさに、変化が続いている医療介護業界で、必須の考え方ではないでしょうか。
オリンピック選手と違って、長年に渡って行う企業経営ですが、日々努力するという点は同じです。
その努力が事業の金メダルという形となるよう、今回のコラムも参考になれば幸いです。

最後に。

ちなみに、コダックは倒産後再出発し、商業印刷の大手として2013年に再上場しております。
ただ、従業員数は最盛期の10分の1となっているようです。

天野 陽介

このコラムを書いたコンサルタント

天野 陽介

中小企業診断士、社会保険労務士試験合格、宅地建物取引士試験合格。カナダのビジネススクール卒業後、海外教育機関にて勤務、留学支援事業の立上げ・運営を経験。2015年にCBグループへ入社。医療介護業界に特化した多角化経営コンサルティングを数多く担当。

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