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2021.02.26

令和3年度介護報酬改定からみる薬局が意識すべき今後の戦略とは?

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令和3年度介護報酬改定からみる薬局が意識すべき今後の戦略とは?

昨年12月18日に令和3年度の介護報酬改定がプラス0.70% と発表されたことを受け「令和3年度介護報酬改定からみる薬局が意識すべき今後の戦略とは?」というテーマで解説いたします。

令和3年度の介護報酬改定の主な内容

令和3年度の介護報酬改定の主な内容は下記の通りです。
【参考資料】社保審-介護給付費分科会

  1. 感染症や災害への対応力強化
  2. 地域包括ケアシステムの推進
  3. 自立支援・重度化防止の取組の推進
  4. 介護人材の確保・介護現場の推進
  5. 制度の安定性・持続可能性の確保

普段薬局を運営されている皆さまからすると、介護報酬改定は身近なようでちょっと他人事のような感覚をお持ちの方が多いのではないでしょうか。

しかし、薬局としても在宅医療に関わっていかなければならない環境下において、医療介護連携は必須であり他人事ではいけません。今回の改定からも、薬局が在宅医療として地域包括ケアシステムにどのように関わっていくべきかは十分に見て取ることができます。

注目ポイント

さて、今回の改定の中で私が注目したポイントは2つあります。
先述「主な内容」の「2」の地域包括ケアシステムの推進の中で掲げられている、(1)認知症への対応力向上に向けた取組の推進と(2)看取りへの対応の充実です。
上記は、従前から言われている内容でもありますが、改めて注目したい点であります。

(1)認知症への対応力向上に向けた取組の推進

まず、(1)認知症への対応力向上に向けた取組の推進についてです。
今回、訪問系サービスについて、認知症専門ケア加算が新たに創設されることになります。今までは、介護保険施設やグループホームなどの居住系施設での認知症専門ケアが言われていましたが、今後在宅での認知症ケアをより推進していくことになります。

ここで出てくる課題が、在宅における認知症の方の薬の管理です。ここに薬局・薬剤師として関わっていけることがひとつポイントになるのではないでしょうか。

(2)看取りへの対応の充実

次に、(2)看取りへの対応の充実です。
今回の改定では、主に介護保険施設系での看取り対応の充実についてではありますが、訪問介護(在宅ケア)における看取り期の対応についても評価されることになります。

看取りについても、病院での看取り↓施設での看取り↓在宅での看取り対応の推進、という流れがどんどんときております。
薬局にとっては、緩和ケア対応の患者さんのために医師から連絡が入り、急に麻薬を持ってきてほしいなどの対応に困ることもあるかもしれません。しかし、他職種間連携を深め、薬局として看取りケアに介入していくことにより、やりとりをスムーズにしていくことは、薬局としての評価を上げていくことになるでしょう。

今回の改定からわかるヒントとは

「5.制度の安定性・持続可能性の確保」に注目

上記、今回の改定から薬局が関わっていくことができるヒントは 十分見て取れるのではないでしょうか。
これから認知症患者、看取り対応の増加は確実です。在宅における認知症、看取りへの対応を、薬局として早期に対応していくことは、地域包括ケアに関わり、必要とされる薬局になるには重要なポイントとなっていくでしょう。

みなさまは普段から、「在宅」、「在宅」と耳にタコができるほど「在宅」というワードを聞いているのではないでしょうか。なぜこれだけ「在宅」かというと、今回の介護報酬改定でも改めて明記されている、「5.制度の安定性・持続可能性の確保」がすべてを物語っています。

今後も超高齢社会は、この医療保険、介護保険制度を維持し活用して 乗り切っていくんだ。ということです。在宅でのケアはそのための戦術です。病院、介護施設でのケアは社会保障費が増加していくだけなので、この医療保険、介護保険制度を維持するには、現状の案として在宅で必要に応じてサービス提供するということです。

この外部環境の中で薬局として今後どう生き残って、地域に必要とされる法人となっていくべきかを考えていく必要があります。
ぜひ今後の経営のヒントにしていただければ幸いです。

田中 隆暁

このコラムを書いたコンサルタント

田中 隆暁

社会福祉法人での事務長、介護事業系企業の取締役にて、施設・通所・居宅系と幅広い新規事業の立ち上げ、資金繰りから人事面など総合的な経営改善の実績を持つ。 医療介護福祉業界をより良くしたい想いを胸に、事業展開、事業改善コンサルティングを多数担当。

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