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高齢者住宅

2022.12.07

地域包括ケアシステムとは?今さら聞けない内容の本質

  • 地域包括ケアシステム
地域包括ケアシステムとは?今さら聞けない内容の本質

地域包括ケアシステム」という言葉を、皆さんは耳にされたり、実際に会話のなかで使うことも多いかと思います。使いやすい言葉ですが、実は内容の本質を知らないという声も多くいただきます。

今回は、「地域包括ケアシステムってそもそもなに?」という疑問にお答えします。

地域包括ケアシステムの目的

地域包括ケアシステムとは、一言で言うと「高齢者の支援を目的とした総合的なサービスを地域で提供する仕組み」です。
国は団塊の世代が75才以上を迎える2025年を目途に、住まい・生活支援・介護・医療・予防が一体となったシステム構築を目指しています。

但し、全国均一のシステム構築では目的達成が出来ないのが実状です。
人口密度の高い都市部と人口減少の傾向が顕著な町村部では、高齢化の進展状況や課題が違うのがその理由です。
地域包括ケアシステムのあり方は、各地域によって変えていく必要が求められています。

各地の状況に合わせ、以下課題をクリアにしていくことが地域包括ケアシステムの目的となります。

地域包括ケアシステムの目的

  • 少子高齢化社会に対応する医療・介護サービスの変革
  • 高齢者が在宅で生活できるように整備していく
  • 地域格差をなくす

地域包括ケアシステムは「公助」「共助」頼りからの脱却

皆さんご承知の通り、日本は医療制度が非常に整った国です。
私個人としては、日本の医療制度は20世紀を代表する発明と考えています。

非常に優れた制度なため、「公助」「共助」で社会が成り立ってきた経緯がありますが、少子高齢化や国力の低下により、国としての財源も余裕はなくなり「公助」「共助」だけでまかなうことが困難になりつつあります。
さらに核家族化が進んだことで、古き良き日本の文化「互助」も薄れてきています。

そういう側面から、私たちには「自助」の動きが求められている状態です。

公助 生活困窮者の支援を目的として行政が主導する生活保障制度や社会福祉制度
共助 介護保険・医療保険サービスといった制度に基づく相互扶助の仕組み
互助 家族や親戚、知人などが互いに助け合い、生活課題を解決していくこと
自助 介護予防や健康寿命を伸ばすことなどを目的とした自分自身で行うケア

地域包括ケアシステムは、「公助」「共助」だけに頼らず、上記4つの「」を繋げることで地域を維持させる仕組み作りになります。

地域包括ケアシステムにおける強者

地域包括ケアシステムの中心は「住まい」になります。

つまり地域包括ケアシステムの中で強者になるには、この「住まい」をマネジメントしている人になります。
個人的見解となりますが、高齢者の住まいで理想的なサービス提供をしているのは特別養護老人ホームと考えています。

今年9月21日の厚生労働省が発表した「介護給付費等実態統計」では、特別養護老人ホームの費用額は2兆79億円と、2兆円の大台を超えました。
介護保険の中で最も費用額が大きく、総費用額に対して18.7%を占めています。

有料老人ホームやサ高住と比較し入居費用が安く、且つ医療・介護サービスが充実しているのが特別養護老人ホームの強みです。

但しこの特別養護老人ホーム、そう簡単に増やせないのが実状。
現状は地方自治体と社会福祉法人のみしか開設が認められていません。
他にも理由はありますが、主に需要に対する供給が追いついていない状態となります。

また特別養護老人ホームの入居は、原則として要介護度3以上の方々になります。
つまり要介護度2以下の方はそもそも特別養護老人ホームには入れず、適切な住まい環境を得られないケースが多く発生しているという現状です。

言い方を変えると、地域包括ケアシステムの中心にある「住まい」に課題を抱えている高齢者が多数
これがニーズとなります。
このニーズに応えるということは、地域包括ケアシステムの中心にある「住まい」をマネジメントするということに直結し、そのまま地域包括ケアシステムをリードする存在に押し上げます。

国策として進める地域包括ケアシステムは待ったなしです。
このシステムの中で、どの立ち位置を担うか、是非一度考えてみてください。

鎮目 努

このコラムを書いたコンサルタント

鎮目 努

歯科医院向け経営支援事業を行う会社へ新卒入社。 営業部長、取締役を歴任し、事業拡大や新規事業の立ち上げに従事。 その後、株式会社キャリアブレイン(現・CBホールディングス)へ入社し、 関東・東北と、各地の責任者として病院や薬局を中心に採用・経営の支援を多数行う。 また顧客のブランディング支援を行う専門部署の立ち上げも経験。 現在は業界経験や事業立ち上げ経験を生かし、クライアントの事業開発支援に従事。

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