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経営

2020.09.18

調剤以外の収入源を作るヒント ~自社の強みを活かし地域課題の解決に~

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調剤以外の収入源を作るヒント ~自社の強みを活かし地域課題の解決に~

薬価制度の抜本的改革が始まり、5年後10年後の薬局の将来を考えると、薬局事業だけでは不安だから何かを始めたいと考えていらっしゃる経営者の方は 非常に多いのではないでしょうか。

我々は多角化事業展開の支援をしておりますが、以前に比べ、みなさんが口を揃えて「薬局だけでは不安だ」とおっしゃられるようになってきたと感じております。
先日も「門前のクリニックの先生の年齢を考えると、自社で別の事業も考えておかなければ、怖過ぎる」と相談を受けておりました。

本コラムは、そんな薬局経営者様へ経営のヒントの一つにしていただけるのではと思います。

サッカー×農業

今、サッカー本業以外で注目されているプロサッカーチームがあります。
それは「福島ユナイテッドFC」というサッカークラブです。
さて、本業以外とは何をしているのでしょうか。

それは「農業」です。

サッカー好きや地域の方はご存じかもしれませんが、今、大変注目を浴びています。
この農業での売上が、クラブの収入源の一つであるファンクラブの収入を超えたとか。

福島県の農水産業は、東日本大震災による原発事故の影響による風評被害でとても大きな被害を受けていたことは、みなさんもご存じかと思います。
この風評被害という状況下、福島ユナイテッドFCは、福島県という地域で何が出来るかを考え、県内の農家とコラボレーションという形でリンゴの生育からスタートさせ、そこから農産物の種類を増やし、話題を呼ぶほどにまでなったそうです。

売り上げが伸びた理由

なぜ、ここまで話題を呼び、風評被害のあった農業での売り上げが伸びるようになったのでしょうか。

下記に分析内容を記載します。
日本のサッカークラブの主な収益源は下記になります。
・スポンサー(広告)収入
・観戦チケット収入
・物販収入

福島ユナイテッドFCは、Jリーグの中でも現在3部にあたるリーグのチームで、多くの収入源がある訳ではありません。サッカークラブの経営としても、事業戦略を考えなければなりません。

そこで、Jリーグのサッカークラブの経営の特徴を考えると、

強み:
・消費者(ファン)に直接アピールできる機会を持っていること
・日本のサッカーチームというブランド力はあること

弱み:
・収入源としてはある程度で頭打ちになってしまう
(サッカー場の席数も改修しなければ増えないし、)
・サッカーに直接関係するもので販売する項目の限界がある

また、当時の福島の農産業の強み・弱みは、

強み:
・生産して売れるモノ自体はあること

弱み:
・風評被害によるブランド力の低下
・直接消費者へPRする機会が減っていたこと

上記をご覧頂ければわかる通り、お互いの弱みを、自分達の強みでカバーし合うことができます。
だからこそ、風評被害があった農産物が売れるようにもなり、また少しずつサッカークラブの収益源を補填するようにもなってきている訳です。

ここにも、これからの薬局経営のヒントは十分得られるのではないでしょうか。
Jリーグのサッカーチームと薬局経営の強み、弱みって似ていますよね。

薬局ではどうか

調剤薬局は、保険収入には限界が見えます。
特に門前薬局は、患者さんの数、単価はすぐには変えれないですよね。

逆に強みは、一定数薬局に足を運んでくれる患者さんがいることです。
直接アプローチできる機会も十分にあります。
(現在のビジネスモデル上、病院・クリニック次第の患者さんを自分たちのファンにするための施策は必要ですが)

Jリーグのサッカーチームも、薬局同様に地域密着型のビジネスモデルです。
各地域にサッカーチームがあり、地域でどのようにファンを呼び込むか色々と戦略を考えています。
薬局経営と通じるところがあるはず。

また、風評被害ではないですが、このコロナ禍で大変な地域の企業や事業家はたくさんいるはず。
きっと薬局としてできることがあるはずです。

農業をしましょう、という訳ではもちろんありませんが、今後の経営のヒントにして頂ければ幸いです。

田中 隆暁

このコラムを書いたコンサルタント

田中 隆暁

社会福祉法人での事務長、介護事業系企業の取締役にて、施設・通所・居宅系と幅広い新規事業の立ち上げ、資金繰りから人事面など総合的な経営改善の実績を持つ。 医療介護福祉業界をより良くしたい想いを胸に、事業展開、事業改善コンサルティングを多数担当。

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