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高齢者住宅

2021.08.20

サ高住監視強化のニュースから考える収益の上げ方

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サ高住監視強化のニュースから考える収益の上げ方

政府が2021年度から高齢者らが暮らす見守りサービス付きの高齢者住宅(以降、サ高住)に対する監視を強化する方針を固めた、というニュース発表がありました。
このニュースを受け本コラムでは、政府の方針に至った背景と、高齢者向け住宅の収益をどのように上げていくべきなのかを解説します。

参考:読売新聞オンライン 2021/1/4
【独自】政府、サービス付き高齢者住宅の監視強化へ…退去人数・理由の公開義務付け

サ高住運営事業者の廃業増加による監視の強化

監視強化の目的と方針検討

政府が方針を固めた背景には、サ高住を運営事業者の廃業等により、住まいを失う高齢者が増えたことが挙げられます。
監視の具体的な内容は下記の項目などが検討されています。

  • 全施設に入居・退去者数や退去理由などの公開を義務付け
  • 自社の介護サービスのみを過剰に利用させ家賃を安く抑える可能性の高い施設を補助金の対象から外す

これらの情報をWeb上に掲載することで、入居者が経営の安定しているサ高住を見分けられるようにしようというのが目的です。

なぜサ高住の経営が厳しいのか

これは、サ高住の居室の面積が広すぎるためではないかと考えられます。
理由としては、「居室の面積が広い」⇒「初期投資が高い」⇒「家賃を高くせざるを得ない」⇒「入居者が集まらない」⇒「経営難に陥る」ということが考えられるからです。

関連記事:「事業者として地域包括ケアシステムに関わるためにすべきこと(2)
※サ高住の面積基準や家賃等に関する記事

また国土交通省の検討会でも同様の意見の意見書が提出されています。
参考:国土交通省 サービス付き高齢者向け住宅に関する現状 平成31年(2019年)3月8日

行政はサ高住をどう考えるのか

今回の方針により、退去人数等の情報を公開することで、入居者が安定経営しているサ高住を選ぶ助けになるかもしれませんが、しかしながら、経営が厳しいサ高住を減らすことには繋がりません。
では、行政は経営が厳しくなっているサ高住をどのように捉えているのでしょうか。

サ高住の監視強化に関する記事が出た頃とほぼ同時期に、国土交通省より「サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会 第5回配布資料」が発表されました。
この内の資料1-1(13ページ)を見る限り、問題視されているサ高住の面積基準の緩和等は考えていないようです。

参考:国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会 第5回配布資料
参考:資料1-1「データから見た高齢者住宅・施設の需給バランス(田村委員提供資料)

この中で言われているのは、サ高住は当初対象としていた「自立した厚生年金受給者」よりも、特養や老健等の介護施設に入れない高齢者(特養の待機者が多いことを考えると恐らく要介護3以上の高齢者が中心)の受け皿になるということでした。
では、サ高住の事業者は「自立した厚生年金受給者」ではなく介護施設に入居できなかった高齢者を入居させれば良いのか、というと1つ注意が必要です。
確かにそれなら沢山介護を提供できて介護保険料も多く収入として入るかと思いますが、行政は「過剰なサービス提供」の監視強化についても動き始めています。

関連記事:「サービス付き高齢者向け住宅における「過剰なサービス提供」の監視強化について
※「過剰なサービス提供」の監視強化に関する記事

サ高住はどのように収益を上げるべきか

サ高住の事業者はどのように収益を上げれば良いのでしょうか?
ポイントは「経営の大規模化・協働化」です。
最近の厚生労働省の資料に頻繁に登場する「経営の大規模化・協働化」ですが、これは『 顧客が多くなれば数の原理で様々な費用のコストダウンを見込むことができるためコスト削減により利益をあげましょう 』ということです。

実際、調剤薬局も行政の政策の結果、M&Aが進みました。(これもほんの一部ですが経営の大規模化が進んでいると言えます。)

それでは、サ高住の事業者が生き残るためには、
「数を確保するためにはM&Aによりサ高住を増やすということ?」
「もっとサ高住を建てろということ?」
そんな声が聞こえてきそうです。そもそも今サ高住の経営に苦しんでいるのであれば、どちらも簡単にできることではありません。

将来的にも安定して顧客を確保していくために重要なことは、サ高住という制度のみに目を向けるのではなく「顧客が求める住宅・サービス・価格はどのようなものか」そして「どうすればそれを提供できるか」と、原点に立ち返り、事業自体と向き合い直すことです。
顧客が求めるものを提供できれば入居者は集まり、「経営の大規模化・協働化」を実現できます。

CBリサーチは、お客様の本質的な課題や将来を見据えた視点で、地域におけるお客さまの新たな価値をご提案いたします。当事業を実行するオーナー様には、この社会的課題である高齢者の住宅環境を整え、地域の高齢者(および家族の)ニーズに応え、高齢者の生活マネジメントを行うことで地域包括ケアシステムの中心部に入っていただきます。
地域包括ケアシステムの中心的存在になり、自社および地域の永続性を高めることを、私たちCBリサーチがパートナーとしてサポートいたします。

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このコラムを書いたコンサルタント

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