高齢者住宅
2024.12.19
高齢者住宅の営業活動とは?② 病院の相談員やケアマネジャーに好かれる営業担当者になるための秘訣
前回は、高齢者住宅の営業活動について、住宅を目にする「機会」と耳にする「機会」をどうやって作るかということを中心に説明いたしました。
今回は、その営業活動で病院やケアマネジャーを訪問する際の秘訣について紹介させていただきたいと思います。
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目次
信頼関係を築くために
相手のニーズを理解する
病院の相談員やケアマネジャーを訪問する上で、
彼らが抱える課題や目標をヒアリングし、共感を示すことが大切です。
そのためには、相手から情報を引き出す態勢づくりが不可欠です。
【訪問前】
訪問前には必ずアポイントを取っておきましょう。
病院や老人保健施設を訪問する際は、事前に必ずアポイントをとり、
相手に「話を聞こう」という準備をしてもらうことが大切です。
【訪問時】
訪問時、自社が運営する「住宅」のアピールポイントは1分程度にまとめます。
それ以降は相手のニーズを引き出すことに努めます。
例えば、「ご利用者様が施設への移り住みを検討する際に、お困りのケースなどありませんか?」と、相手が抱えている現在進行形の問題や過去の話題を引き出す問いかけを行うなど、まずは相手が持っている情報を引き出すようにします。「前にこんな方がいて、老人ホームに入りましたよ」とか、「今このような方がいて●●な所を希望しています」、「私は担当していないけど、他の担当が受け持ったケースでは老人ホームに入居したみたい」等コメントが返ってくれば、話題に出てきた利用者に関心をもち、相談員やケアマネジャーがその利用者とどのように関わり、何が問題となっているのか、これからどうしようとしているのかを引き出していくようにしましょう。
定期的に顔を出す
次に訪問の頻度の問題です。
週に1回訪問するのか、月に1回なのか、それとも年に1回の頻度でいいのか。
相手のケアマネジャーと現在進行形で利用者の入居に向けて動いているならば、
訪問だけでなく、電話も含めて接触回数は増えてきます。
しかし、数日前に初めて訪問した先を毎週のように訪問するというのは現実的ではありません。
まずは、1回目の訪問で自己紹介とニーズの引き出しに専念し、そこから見学会や内覧会の日程やイベント等、お土産になる話題を持って改めて訪問するという流れが自然です。
訪問の間隔については、1か月や2か月程度なら「1か月ほど前にもお伺いしましたが」と話も切り出しやすいですが、半年前とか1年前の訪問だと、相手も記憶を呼び起こすのに時間がかかったり、中には覚えていない方もいるかもしれません。「定期的に顔を出す」と書きましたが、1回目の訪問時に相手の情報を引き出し、その情報に合わせて訪問の間隔を決めていくというのが正解です。
例えば、「施設への入居を希望している方だが、こういうところで困っている」という具体的な事例が出てきた場合は、具体的な回答を用意してお電話もしくは訪問すべきでしょう。
しかし、特に具体的な事例や何も困っていない方であれば、「見学会」の案内や「新しい入居者の事例」等を話題として持っていき、忘れられないように情報をアップデートすることが大切です。
1度目の訪問で相手から提供された情報について何ができるか、これを考えながら行動することで、継続的に訪問することが可能になります。
価値ある情報の提供
具体的なサービスを説明する
次に何を伝えるかです。
1回目の訪問では1分程度で紹介をと書きましたが、何を伝えるかはとても重要なことです。
名刺だけでなく、資料(チラシやパンフレット)を必ず持参し、①会社名②母体③名前④場所⑤サービス内容と料金⑥誰が対象か⑦ご紹介の依頼は必ず伝えるようにします。
これらの内容を盛り込んだチラシやパンフレットがあると、相手はそれを見ながら説明を聞くことができ、訪問後も相手の手元に残るため、こちらのことを思い出してもらいやすくなります。
①は会社名を名乗ってもよほど有名な会社やユニークな名前でない限りすぐには覚えてもらえません。
②の母体、例えば「オーナーが〇〇薬局の△△です」というように、相手がわかりやすい情報も伝えるようにします。
③の名前は担当者の名前です。営業担当者の中には、A4用紙1枚に経歴や趣味などをまとめている方やユニークな名刺を作成している方もいると思います。これも担当者自身を売り込む有効なアプローチです。ただ、訪問の目的は自社の住宅の説明と相手の情報の引き出しであることは忘れず、自己プロフィールなどは最後にお渡しして、相手が関心を持ってくれたら言及するくらいの気持ちでいましょう。
④の場所については、住宅がどこにあり、近くに何があるか具体的に伝えること。営業活動は住宅の近隣で行っていることが大半ですから、相手も土地勘のある方が多いです。「住宅の南側に●●というスーパーがあります」など、目印となる建物の名前を出すことで、相手も住宅がどこにあるのか具体的にイメージしやすくなります。
⑤のサービス内容と料金ですが、これが最も大切な部分です。「高齢者向けの賃貸住宅です」と伝えるとともに、住宅の中で入居者の方が得られるサービス(介護、医療、食事)を説明し、料金についても案内します。そして更に、住宅の「強み」をアピールします。外出・面会が自由、サービスの選択肢が豊富といった、入居者にとってのメリットを伝えるようにします。さらに、その強みにあった具体的な対象者(⑥)が誰かも明示してあげると、より納得してもらいやすくなります。
このように住宅についてコンパクトに説明した後は、相手からの情報の引き出しへ入り、最後の締めくくりに「ご利用者様の中で対象となる方がいらっしゃいましたら、お声をかけてください」と連絡先を示しながら伝えておくようにします(⑦)。
実例や成功例を共有する
実例や成功例は、相談員やケアマネジャーの方に響きます。
伝えるときは、具体的に伝えてあげることが大切です。
例えば、「ご家族の方が毎日面会できる施設を探されていたが、こちらに入居されて、面会時間など気にすることなく会えると喜んでおられます」、「ご自宅にいるときにお願いしていた担当のケアマネジャーに引き続き担当してもらえるからよかった」、「自宅では1人でごはんを食べていたけど、ここでは友達ができて毎日話をしながら食事ができるので嬉しい」といった入居者の嬉しいエピソードを添えていきます。
さらに、「退院前の病院の相談員の方から、退院時は迅速に動いてくれてありがとう、退院時期が迫っていたので助かりました、というお言葉頂きました」等、相手に響く一言が言えるように普段から入居者にまつわるエピソードを集めておくと、いざというときに話題を提供することができます。
そして、こういったエピソードは、具体的でオリジナルなものであるほど、相手に伝わり、印象にも残るため、「ここなら紹介しても良いかな」という気持ちを抱いてもらいやすくなります。
資料や情報を提供する
先ほどもチラシやパンフレットを持参することの大切さを書きましたが、法人名、母体、場所、サービス内容、料金、設備、連絡先、イベントの日程などを画像入りで盛り込んでおきましょう。近隣のお店だけでなく、訪問診療でお世話になっているクリニックや訪問看護ステーション等も紹介できると、より好印象です。
また、具体的な入居検討者をご紹介いただいた場合は、入居検討者の課題を知り、それに対して迅速に対応していくことも大切です。見学を促すことも必要ですが、その方がどうすれば見学に来てくれるか、ここでもニーズを把握しておくことが重要になります。入居検討者の方が「どのようなご飯が食べられるのか」を気にされていれば、提供する食事についてのパンフレットをお渡しする、食事に関する入居者の声を伝える、食事の会社はご自身で選んでいただけること等を伝えると、ケアマネジャーも入居者の住宅見学へ向けて一押ししてもらえる可能性が高まります。
ケアマネジャーや相談員が動きやすくなる情報を一つ一つ提供していくことが、信頼関係を向上させ、住宅のイメージを向上させていく上で大切です。
アフターフォローの徹底
紹介者にフィードバックをする
相談員やケアマネジャーからの紹介がきっかけで入居が決まったら、報告とお礼を伝えるのが礼儀です。
そして、可能な限りはその後の様子を伝えて差し上げましょう。入居後のエピソードは、住宅を紹介した方の不安を解消することにも繋がります。「紹介して良かった」と思ってもらえるように、入居後も誠心誠意の対応を心掛けていきましょう。
また、時として入居後に現場で何らかの失敗があり、クレームを頂くこともあると思います。そのような場合は、落ち着いた頃合いで、伝えられる範囲でお伝えし、今後どのように対策することが決まったかなどお伝えするようにしましょう。悪いニュースではありますが、住宅がそれをどう捉え、どう対応したのかを伝えることはとても大切です。「起こってしまったことに対してどう対応したか」をきちんと伝えることで、相手にとって「悪いことも包み隠さず話してくれる」という印象に繋がるでしょう。
感謝の気持ちを伝える
訪問するたびに、お話をさせていただいたことに感謝の気持ちを持ちましょう。時間を作って会っていただいた上に、お話まで聞いていただいたという姿勢です。
この姿勢を常に持つことで、礼儀正しい人という印象を持たれ、「訪問されても全然嫌じゃない」存在になれます。
実際に、訪問を繰り返すうちに毎回事務所内に招かれて、コーヒーが出てきたり、私的な会話に発展することも多々あります。
ただの訪問者から、「信頼できる人」そして「助けてくれる仲間」へとステップアップしていけるよう、営業訪問を楽しんでいただけたら幸いです。
有料老人ホームにて入居者集客、売上向上のための営業推進を行い、顧客の新規獲得から契約・入居に至るまでのフォローを行う。その後、施設のマネージャーとして施設運営を担い、スタッフの採用・育成・モチベーション管理、各部門の売上向上に貢献。これまでの経験を活かし、高齢者住宅の運営を目指す皆様の課題解決に邁進中。