クリニック
2023.08.03
経営の課題や悩みを解決・解消するポイント~因果関係、構造で考える~
こんにちは。コンサルタントの天野です。
私たちは、日々たくさんの薬局、クリニックの経営者とお話しするのですが、
さまざまな課題を抱え、悩まれている方も多くいらっしゃいます。
本日のコラムはそのような皆さん向けに、少しでも悩みの解消になればと思います。
悩みは全体が見えていないから
なぜ悩んでしまうのでしょうか。 まず、目の前に発生した問題に対して解決しようと、すぐ対処します。しかし、対処したからといって、根本から解決できるとは限りません。例えばお客様から「接客態度が悪い」とクレームを受けたとします。 そこでお客様に謝罪を行い、クレームの原因となったスタッフへ注意します。 しかし、再度クレームを受けたとします。クレームの原因は、実は待合室のエアコンの効きが悪いことで気分を害してしまったお客様が、スタッフにあたってしまったのかもしれません。 または、社内の人間関係が悪く、スタッフに接客を丁寧に行う余裕がないのかもしれません。起きている問題は、発生したメカニズムが複雑で、パッと見ただけでは分からないのです。
一歩引く、そして構造で考える
私たちコンサルタントは、今、目の前に起きている事象や因果関係を「構造化」して考えます。 目の前で問題が起きている経営者は、一歩引いて事態を客観的に把握することが難しく、気が付いた時には、暗中模索の状態に陥っていることもあります。私たちコンサルタントは、経営者に対し、客観的な視点でヒアリングを行い、業界知識、組織知識、会計知識、また論理思考により、起こっている問題の構造を解析します。構造を紐解くことで、全体に光が差し、根本的な解決策が見えてきます。 目の前が真っ暗な状態に陥ったと感じた時ほど、一歩引いて、全体を把握するように意識してみましょう。
因果関係か相関関係かを考える
なぜ目の前の問題が起こったかを考えていくと、問題の背景が見えてきます。重要なのは、「因果関係」か「相関関係」に分けている必要があります。
世の中の事象の関係性は、以下に分かれます。
- 「因果関係」
- 「相関関係」
- 「無関係」
「因果関係」とは、原因と結果の関係です。「気温が上がれば、体を冷やすために冷たい食べ物・飲み物が欲しくなる。そしてアイスクリームの販売量が増える」は、原因と結果でつながっています。「相関関係」とは、ある要素とある要素が連動している関係です。例えば、算数の点数が高い生徒は理科の点数も高い傾向があるでしょう。 でも、こういった傾向は算数の点数が高いのが原因となって、理科の点数が高くなっているわけではありません。あくまで連動しているだけです。 目の前の事象を考える場合、「因果関係」と「相関関係」を把握できていないと、問題を根本から解決できずに終わる可能性があります。
本当にその対策は因果関係にありますか。
“患者様が多いクリニック”があります。クリニックは”エントランスが豪華”なつくりになっています。エントランスを豪華にすれば、患者が増えるのでしょうか。事実は、「患者が多くなり、収益が増えた」のであり、「費用をかけて”エントランスが豪華”になった。だから”患者様が多いクリニック”である」これは因果関係ではなく、相関関係になります。だからこそ、問題の根本にアプローチすることが重要になります。一般的に効果が高いと言われる解決策は、「因果関係」に基づいていることが多いです。皆様が実施している解決策は「因果関係」に基づいていますでしょうか。 最初は、この判別は難しいかもしれません。 しかし、「因果関係」か「相関関係」かの視点を常に持つことで、間違いなく「因果関係」に基づいた事実に近づくことができます。 つまり、「因果関係」か「相関関係」かを意識するだけで、得られる成果が大きく異なってきます。 こういった考え方により、皆さんの経営の発展に結び付けば幸いです。
事業戦略も因果関係
長期的な視点で事業を発展させようと考えると、事業戦略が重要です。「この事業戦略は”因果関係”に基づいているか」の見極めがポイントです。私たちが推進している「地域包括ケア事業(厚生労働省ウェブサイト)」もまさに「因果関係」をもとにした事業戦略の一環で、事業戦略の策定やフレームワークにも役立つ考え方です。もし興味がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
中小企業診断士、社会保険労務士試験合格、宅地建物取引士試験合格。カナダのビジネススクール卒業後、海外教育機関にて勤務、留学支援事業の立上げ・運営を経験。2015年にCBグループへ入社。医療介護業界に特化した多角化経営コンサルティングを数多く担当。