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高齢者住宅

2021.03.05

高齢者向け住宅の事業展開のための土地探しのポイント

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高齢者向け住宅の事業展開のための土地探しのポイント

以前、高齢者のお住まいについて、高齢者の視点から分析し「賃貸 vs 持ち家~高齢者が直面するお住まいのジレンマ」をテーマに執筆しました。

今回は、この高齢者のお住まい問題をチャンスと捉え、高齢者に安心して住める住宅を提供したいという事業者側に、高齢者住宅の事業に適する土地の特徴について紹介したいと思います。
弊社提案の高齢者住宅の事業展開を検討されているお客様はもちろん、弊社の提案以外のスタイルでも住宅や施設の土地選びに共通の部分があるので、ぜひご参考ください。

法令上の制限

不動産広告では「市街化区域」「市街化調整区域」「用途地域」など見慣れない言葉がよく出ます。
これらは 秩序のある街づくりのために、土地の用途や建築行為に対して、法律で決められた制限です。纏めて「法令上の制限」と呼ぶことが多いです。個人宅を建てることと比べ、共同住宅または介護施設の規模は大きく、利用者も多いため、より多くの法令上の制限が関わってきます。

土地を探す際、まず法令上の制限を確認し、行いたい事業は法令上の制限によって出来なくなっていないかを確認しなければなりません。
下記では、ほとんどの不動産の広告で掲載され、すぐに確認できる法令上の制限を説明します。
効率的に土地を探すために、これらの条件を絞って情報収集したほうがよいでしょう。

ポイント1.市街化区域・市街化調整区域・非線引き区域

「市街化調整区域」では原則として建物が建てられないのに対して、市街化区域、非線引き区域では、建築可能です。
なお、サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの場合、一定条件を満たせば、市街化調整区域でも、特別に許可される場合もあります。

ただし、市街化調整区域での建築行為のための許可を申請するには非常に時間が掛かりますので、どうしても市街化調整区域での土地を利用したい場合、後述の立地条件と開発にかかる時間と費用を考慮して判断してください。

ポイント2.用途地域

市街化区域の中で、さらに用途地域が分けられています。それは、土地の上で建築する建物の用途に関する制限です。
建物の用途は下記の図で示したように建築基準法上で定義され、それぞれどの用途地域の土地上建てられるかが決まっています。

弊社が提案する高齢者住宅は「住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿 」のカテゴリーに入ります。
サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームの場合、具体的な建物の間取りなどによって異なりますが「住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿 」もしくは「老人ホーム、身体障害者福祉ホーム等」のカテゴリーに入ります。いずれ工業専用地域以外の用途地域はすべて建築可能です。

また、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域の場合、絶対高さや斜線などの制限がありますので、2階しか建てられないケースが多いです。

従って、もし検討する土地は住居専用地域の場合、2階建ての建物でもご希望の広さの建物を作れるかをざっくり想定してみてください。1フロア当たり延べ床面積の上限の目安は下記となります。
※1フロア当たり延べ床面積の上限=土地面積*建蔽率

ポイント3.容積率

同じ面積の土地でも、容積率、接道状況等の条件によって、その上に建てられる建物の広さが変わってきます。 
弊社の提案の高齢者住宅は、30室(1部屋当たり約11㎡)規模で延床面積700㎡からとなります。
(実際の間取りによって変動があります)

因みに有料老人ホームの場合、1部屋当たりの面積は13㎡以上、サービス付き高齢者住宅の場合、1部屋当たりの面積は25㎡以上、さらに廊下幅ももっと大きく取る必要がありますので、同じ室数の建物でも延床面積が大きくなり、もっと広い土地が必要となります。
不動産の広告では容積率が書かれていますので、下記の計算式でざっくり計算しましょう。

建築可能の延床面積の上限=敷地面積×容積率

ここで、一つ気を付けないといけないことは敷地の前面道路の幅です。
詳しい計算は省略しますが、前面道路が狭くなると、実際に利用できる容積率は広告で記載している法定容積率より下回ることがあります。
さらに、後程説明する運転しやすさの条件を考えたら、前面道路は6メートル以上の土地をお勧めします。

以上、基本的な法令上の制限を確認したことによって、その土地を利用することができるかを判別し、効率的な土地情報の収集ができます。

立地条件

次はどのような土地はビジネスの観点からみて魅力的かを話したいと思います。

いろんな条件の中で、立地はやはり一番です。ただし、良い立地を追及しすぎると、値段が高くなり、事業が成り立ちにくくなります。値段とのバランスを取りつつ、下記3つの「やすさ」を特に重視すべきと考えています。

ポイント1.場所の分かりやすさ

特に事業を始めたばかりの時期、交通量の多い大通り沿い、地域で誰もが知っているショッピングモール、市民館の近くなど、分かりやすい場所で建てれば、入居募集の際に説明しやすく、看板を建てて宣伝効果も期待できます。既に地域で知名度のある事業者でしたら、値段とのバランスを考えてこの点少し妥協してもよいと思います。

ポイント2.家族の通いやすさ

入居を決めるのは入居者本人以外に、家族の意見も大きな要因です。入居後、家族も時々来られるような場所なら、入居側にとっても、入居させる側にとっても心理的なハードルが下がります。例えば、地域で買い物や外食によく行く場所に繋がっている道路沿い、もしくは道1本入っているところは良いでしょう。

ポイント3.運転のしやすさ

家族の意見は入居に大きく影響する話をしましたが、その中でも、特に女性の意見が重要です。なぜなら、実際に高齢者の世話をするのは娘さんや息子さんの奥様のような女性の場合が多いからです。入居後も来るのは女性の場合が多いです。前面道路の幅、Uターンできるか等、運転のしやすさは、ポイント2でも話した家族の通いやすさに繋がるので、考慮すべきでしょう。

以上、高齢者住宅の経営者の観点から、これから新しく高齢者住宅を建てたい場合、土地情報の選別方法、良い土地の選びポイントを話しました。少しでも参考になりましたら幸いです。

CBリサーチ編集部

このコラムを書いたコンサルタント

CBリサーチ編集部

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