経営
2021.01.15
10年後の会社の価値を高めるたった一つの考え方
早速ですが、質問です。
世界の企業時価総額ランキング。上位50社に日本企業は以下の時点で、何社入っていたでしょうか?
- 1989年(平成元年)
- 2018年(平成30年)
この30年で起こった変化
答え
参照:ダイアモンド社記事 https://diamond.jp/articles/-/177641?page=2
- 1989年(平成元年): 32社
- 2018年(平成30年): 1社
ビジネス誌を読む方であれば目にされた情報かもしれませんが、改めて見てみると恐ろしい変化が起きたと思いませんか!?32社が1社です。平成元年は世界上位50社のうち約6割が日本企業でした。まさに、ジャパンアズナンバーワン。それが近年は1社、トヨタのみです。
では、近年どの国が上位を占めているかというと、
1位:アメリカ31社
2位:中国7社
アメリカ1強で、それに中国が追随する形です。一体この変化の要因は何だったのでしょうか?
中国は途上国からの発展・人口ボリュームを背景としているとしても、アメリカは30年前も先進国でした。つまり日本と同様だったということです。
それが、アメリカ企業は大きく企業価値が向上し、日本企業の価値は世界から取り残されました。
トップ業種となり得た要因
この要因は、それぞれの年代のトップ業種に着目すると見えてきます。
1989年:金融17社
2019年:IT・通信14社
ご存じの通り、GAFAと呼ばれるアメリカの巨大IT企業が世界経済をけん引しています。
これらの産業の躍進がこの30年の変化につながっています。
では、何故アメリカはIT産業を中心として発展したのでしょうか?
それは、一つに「ファイナンス思考の有無」と言われています。
ファイナンスとは日本語でいう財務です。財務というとお金をどう集めるかと考える方も多いかと思いますが、それはファイナンスの一面でしかありません。
ファイナンスの目的は「事業価値を最大化すること」です。
では、事業価値とはどのように考えるかというと「将来にわたり生み出されるキャッシュフローの合計」です。
つまり、ファイナンスの考えというのは、
- 集めてきたお金(+人・物)を
- どのように配分すれば、
- 将来生み出すキャッシュが最大になるか
を考えることです。
この30年間でアメリカ企業は「これから」の世界の変化を予測しITに投資してきました。
それが、将来生み出すキャッシュを最大にするからです。
しかし、日本は人口増加や世界経済の発展を背景とした成功体験が強かったため、「今まで」の世界の変化をもとに既存事業の延長で投資してきました。
これでは、現在の延長のキャッシュしか生まず、ファイナンス思考の企業とは大きく差が開くことになります。
この「これから」と「今までの」の差が、この30年間ということです。
たった一つの思考の違いですが、時間が経てば経つほど、大きな差に変わります。
医療介護業界も他人事ではない
~医療介護業界でもこの事例と同様のことが起こる~
この事例を出したのは、これと同様の変化が医療介護業界でもこれから起ころうとしている(現在起こっている)からです。ご存じの通り、人口構造の変化を背景に、社会保障の改革、そして医療介護業界も大きく変わろうとしています。
しかし、この医療介護業界で事業をされている方々には「今まで」思考が強く根づいています。ただ、全ての方が「今まで」思考なわけではありません。当然「これから」思考で事業を進める方も必ずいます。そうすると、「今まで」思考の方々はいつの間にか、不利な立ち位置に変わってしまいます。
いつの間にか時間が失われた、と思わないために、「これから」思考を取り入れることを考えてみてください。ちなみに、我々がご支援する法人様は、もれなく「これから」思考です。
薬局のこれから
薬局は「これから」地域包括ケアシステムの中心的存在となる戦略が事業価値を高めます。この戦略展開の最初として、薬局が高齢者住宅事業を進めています。この事業には大きな投資も発生します。それでも進めるのは、この事業が薬局含めての事業価値向上につながるからです。
「今まで」から「これから」へ変わる
これは、日本全体で難しかったように、この変化は簡単ではありません。それでも、産業の発展のためにも、この変化は必要なものです。それが利用者の価値向上につながり、ひいては日本全体のパワーアップにつながると思います。
ぜひ、参考にしていただければと思います。
皆様の今後の事業展開の一助になれば幸いです。
中小企業診断士、社会保険労務士試験合格、宅地建物取引士試験合格。カナダのビジネススクール卒業後、海外教育機関にて勤務、留学支援事業の立上げ・運営を経験。2015年にCBグループへ入社。医療介護業界に特化した多角化経営コンサルティングを数多く担当。