高齢者住宅
2020.12.25
「有料老人ホーム」と「サービス付き高齢者向け住宅」はまだ参入の余地があるのか
今回は「有料老人ホーム」と「サービス付き高齢者向け住宅」について、そもそもどのような制度なのか、まだ参入の余地はあるのかについてお伝えいたします。
参入をご検討されている方は勿論、施設在宅を増やしたいと考える薬局経営者の方も顧客を知るという視点からご覧いただけますと幸いです。
「有料老人ホーム」と「サービス付き高齢者向け住宅」とは
まず「有料老人ホーム」と「サービス付き高齢者向け住宅」とは何かについてです。
有料老人ホームは、老人を入居させ、以下の1~4のサービスのうち、いずれかのサービスを提供している施設のことをいいます。
- 食事の提供
- 介護(入浴・排泄・食事)の提供
- 選択・掃除等の家事の供与
- 健康管理
また、新たに建物を建てて有料老人ホームを届け出る場合は、基本的に1部屋あたり13㎡という基準が定められています。運営法人に特別な縛りはなく、あくまで民間供給の住宅ですので見た目はもちろん、ターゲットや家賃等の料金設定は住宅により様々です。
一方、サービス付き高齢者向け住宅で特徴的なのは、25㎡(共用部分等で一定の基準を満たせば18㎡)という広い部屋が必要だということです。サービスとしては、少なくとも安否確認サービスと生活相談サービスを提供する必要があります。
では「有料老人ホーム」と「サービス付き高齢者向け住宅」は、まだ参入の余地があるのかについてですが、高齢者や要介護認定者の人数から見ると、まだまだ参入の余地は十分にあります。ご存じの通り、2042年まで高齢者は増加する見込みでありその後の減少も緩やかであるためです。
以下のグラフは、2025年時点の高齢者向けの住宅の供給目標と実態との乖離を表しています。
また、行政の政策から見ても参入の余地はあります。国は、社会的入院から施設での介護へ、そして在宅での介護(医療)と医療・介護の場を移すことで、国で負担する額を減らそうと動いています。この動きからも、医療・介護を受けやすい住宅の提供を行うことは今後のニーズに合っていると言えます。ただし、ただ高齢者向けの住宅を建てれば成功するという訳ではありません。
上のグラフをご覧いただくと分かるように有料老人ホームは右肩上がりに増加しています。一方でサービス付き高齢者向け住宅は平成27年頃から伸び率が低下しています。このように有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の増加に差がある理由について、私達は初期投資額の差にあると考えています。
1部屋当たりの基準面積は、有料老人ホームの場合13㎡、高齢者向け住宅の場合は25㎡です。これだけ広さに差があると建築コストに大きな差が出ます。初期投資が高くなるわけですから、それだけ利益も大きくなければ事業は成り立ちません。といっても、家賃を高く設定すれば高齢者の懐事情とあわず入居率が確保できません。
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は、まだまだ増やす余地があるものの、このように初期投資と投資回収の方法には十分注意と工夫をしたうえで事業を行う必要があります。
私たちCBリサーチは、医療・介護・福祉業界に特化した「戦略コンサルタント」として「地域包括ケアシステム」に沿った戦略構築と実行支援を行い、お客様の未来を共創する会社です。様々な新規事業展開をワンストップで共創します。